2016年
第21回入賞作品
佳作
6年越しの約束 伊藤 里緒菜(17歳 高校生)
私は小学生の頃好きな男の子がいた。その男の子とは栽培委員会という学校の委員会で一緒になり気になり始めたのだ。男の子の名前は「しょうた」という。しょうたと委員会でお花を植えたり、水やりしたりしながらお話しするのがとても楽しかった。ある日、しょうたと手紙のやりとりをするようになった。毎日が幸せで手紙を読むのがとても楽しみだった。そして、ある日突然手紙に書かれていた。「好きな人いるの?」私はその時頭の中が真っ白になり、動揺が隠せなかった。私は思わず手紙に「しょうたが好き」と書いてしまった。そして次の手紙に「付き合ってください」と書かれていた。私はとても嬉しくて、ベッドの上でピョンピョンと跳ねた記憶がある。それからというもの、別に付き合ったから何をするなどはなかった。逆にお互い恥ずかしくなり、手紙以外、学校での会話は、ほとんどなくなった。しかし、手紙の特別感というものがみんなに知られることない二人の秘密だったので、ちょっぴり嬉しかった。
ある日、手紙でお互いの夢を語り合うことになった。私の夢はキャビンアテンダントになることだった。初めて飛行機に乗った時、とても怖くて怯えていた。そんな時にキャビンアテンダントさんが優しく「大丈夫だよ。ほら、このおもちゃを持ってると怖くないよ」
と言ってくれて そのおかげで恐怖感はなくなり、このお姉ちゃんみたいになりたいと強く思ったのがきっかけだった。お姉ちゃんみたいにみんなを安心させて、ありがとうって言ってもらえるようなキャビンアテンダントになりたい。そして今でもその夢は変わらない。しょうたの夢は航空整備士だった。「君がキャビンアテンダントになるのなら僕は飛行機を修理する航空整備士になるよ」と言った。その時は素直に「将来同じ所で働くんだ」と胸をふくらませていた。「一緒に夢叶えようね」と約束をした。
しかし、突然私は父の転勤で九州に引っ越さなければならなくなった。悲しくて悲しくて毎日泣いていた。すると、家のインターホンが鳴った。しょうただった。しょうたには引っ越しのことを話していた。「僕、東京で待ってるから。ずっとずっと待ってる。一緒に夢叶えようって約束したもんね」と言った。その言葉が嬉しくてたまらなかった。大学は絶対に東京にすると決めていたため、次再会するのは6年後…
私は引っ越しをして、また新たな生活を始めた。しょうたとは手紙のやりとりを続けていた。何年経っても、しょうたの夢は変わらなかった。もちろん私もだ。
とうとう、あと4ヶ月で6年が経つ。しょうたからは航空整備士の専門学校に合格したと報告がきた。私も第一志望の大学に合格することができた。あの約束から6年経つというのに、しょうたと私の夢は変わらずに、ずっと想い続けていることに何より感動した。しょうたと会うまであと4ヶ月。再会したら私たちの夢について今度は手紙ではなく顔を見ながらたくさん話したい。