第26回 約束(プロミス)エッセー大賞

過去の受賞作品

2013年
第18回入賞作品

佳作

「うまい棒と20円引シール」 吉本 亜沙里(18歳 学生)

 私には弟が5人います。6人兄弟で、両親あわせて8人家族です。全員ちゃんと血はつながっています。ビックダディほど多くはありませんが、複雑でもありません。
 弟の、下から2人は双子で、私と8才違います。その双子の話をしようと思います。今年の、私の誕生日のときの話です。
 私の家では、人数がそこそこ多い分、誕生日に対する意識が薄いです。母は言わないと気づきません。今年の父の誕生日は、兄弟で私以外全員忘れてました。毎年毎年こんな風に年が過ぎていきます。
 ですが、私の場合は違いました。誕生日の一週間ほど前、私は自分の誕生日なのでしっかりと覚えています。母は一体いつ気づくだろうと思っていたときでした。
 「お姉ちゃんもうちょっとで誕生日やな」
 ちょっと早口な、双子の弟の方に言われました。私は家族で一番誕生日が早く忘れられがちなので、末っ子が覚えていたことに驚きました。
「せやで」
「それじゃ、俺らが何か買うたるな!」
「ええ、本間に?約束やで」
 約束といってもすぐ忘れるだろうな、と思っていました。ですが、その言葉だけでもとても嬉しく思いました。
 誕生日が3日後に迫った日、母はまだ、気づく気配がなかったので
「お母さん、あと3日で18やで」
 と言いました。母はあ、みたいな顔をして本間やなあと言ってました。華の女子高生も今年で最後やなあとも言われました。一言余計だなと思いました。
 そして誕生日当日、午前0時には友人からおめでとうメールが来て、学校に行けばお祝いされ、お菓子ももらい、いつもつまらない学校ですが、その日は楽しく過ごしました。
 ほくほくとした気持ちで家に帰ると、リビングのテーブルの上に小さめのレジ袋が置いてありました。ナニコレーと思ってると、2階から双子か降りてきました。おかえりーと言われたのでただいまーと返すと
「それ俺らからやでー」
「誕生日おめでとう」
と言われました。ビックリして、叫びながら袋の中を見てみるとうまい棒とパンケーキみたいなのがそれぞれ2つずつ入っていました。よく見るとパンケーキのパッケージには『20円引き』のシールがデカデカと貼られていてそれがなんだか可愛く思えて笑いました。
 20円引きでもうまい棒でも、とても嬉しくて、何度も何度もありがとう、と言いました。
 私の家はおこづかい制ではなく、たまに祖母からもらえたり、お手伝いをしておだちんとしてもらえます。ですが、祖母からはしょっちゅうもらえるわけでもありませんし、お手伝いをしても1時間で50円ほどです。弟自身が自由に使える額は、ホントにちょっとの額しかありません。自分で使う分をけずってまで祝おうとしてくれた気持ちに感激しました。双子の頭を両手でわしゃわしゃーとなでました。
「本間にありがとう!自分らも誕生日になったら何か買うたるからな」
「まじで?約束な!」
「やった!」
 今思い返してみればこれが目当てだったのかな、と思えますが、うまい棒とパンケーキはとても美味しかったです。