2010年
第15回入賞作品
優秀賞
「未来への約束」 ロンゴ ニアンギ(栃木県立小山城南高等学校3年)
私の父母は、二十年前に日本に来ました。そして私は日本で生まれました。元はコンゴ民主共和国の国籍でした。今は日本国籍を持っています。私は三才の時に私達の母国であるコンゴ民主共和国に行くはずでした。ちょうどその時、内戦が勃発して、帰れなかったのでウガンダというアフリカの東部に位置している国に家族と共に行ったのです。ですから、私は一度も母国に足を踏み入れることはありませんでした。
コンゴ民主共和国では多くの内戦が起き、他国へ逃げる人は少なくないのです。大統領選挙になると、さまざまな政党を支持している人達がそれぞれの代表者が大統領になるべきだと言い争い、その結果、選挙後、満足していない政党の支持者は色々な理由を付けて戦争を始めました。戦争では色々な悪いことが行われました。子供を殺したり、町中の女性を強姦したりなど私には考えられない事件が起きました。
コンゴ民主共和国では大統領になった人が国民に約束をしますが、そのマニフェストは約束されず、国民の税金は全て、大統領一家の物であるかのように勝手に使用されました。さらに、民族差別の問題へと発展しました。例えば、ある人は大統領の民族出身であるから副総理大臣に任命され、その民族に属していない人はその職を失ったのです。日本では考えられないことばかりです。国民のお金を勝手に使用すれば当然、国中に貧困の波が押しよせて来ます。自分達と同じ民族ではないからと言う理由で、彼らから仕事を奪ったりすることはナンセンスです。
二年前、アメリカ合衆国で大騒ぎになっていたニュースがあります。それはアメリカの歴史で初の黒人大統領が当選を果たしたというニュースでした。彼はオバマ大統領です。彼はアメリカの国民にたくさんの約束をし、遂に彼らの一票一票を得ることができました。彼が当選した当初、アメリカ合衆国は色々な問題に直面していました。保険の問題、イスラーム諸国とのぎくしゃくした関係、イラン=イスラム共和国との原子力についての意見の食い違いなど書き切れないほど多くの問題を抱えていました。その中でオバマ大統領がある程度直すことができた問題は保険の問題です。彼は選挙の時、アメリカ国民に約束したことの一つを成し遂げることができました。本当にすばらしいと思いました。なぜかというと約束した事を実現させることができたからです。しかしながら、ほとんどの国民が満足できず、残りの問題を解消する必要があります。勿論、それらの問題を完璧にすることは時間がかかると思います。それにしても、オバマ大統領は自分ができる限りのことをしようとする姿勢が頼もしく、素敵だと納得させられました。
このように、一生懸命約束を守ろうとする大統領にとっても簡単ではないものです。それ位、約束という言葉の重みは半端ではないものです。アフリカ諸国では約束をし、それを当然のように守らない大統領は多く目立ちます。はっきり言って、私はアフリカ出身の人としてとても残念な気持ちでいっぱいです。貧困の世界と先進国の様子を自分の目で見てきたからこそ言えることです。
私は将来、世界保健機構を通じて、色々な国々を支援したいと自分に誓って約束したいと思っています。それらの中で、我が祖国、コンゴ民主共和国の力となれれば幸いです。